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美少女フィギュアは燃えているか・その7・『寄せ来る商業化』 [美少女フィギュア勃興史]

時は90年代末。
ノストラダムスマルス7の月恐怖の大王だと、なんとなく終末論が囁かれていた頃。
相次ぐ終末的事件/事故の発生を横目に、ガレージキットイベントの商業化が加速し始めます。

90年代半ばに巻き起こった『新世紀ブーム』を機に、ガレージキットの認知度は跳ね上がりました。
…といっても、まだまだ限られた範囲での認知度、ではありましたが。
新世紀ブームによって、キャラクタフィギュアやガレージキットに興味を持った『新たな買い手と新たな造り手』が、ガレージキットイベントの様子を変えていきます。

それまでのガレージキットイベントといえば、お客さんのほとんどは『模型愛好家』でした。
幼い頃からプラモデルに親しみ、ある程度の模型工作技術を持っており、アニメやコミックの愛好家でもありました。
それゆえに、好きなキャラクタを立体化したガレージキットを欲し。
手にしたガレージキットを、自ら組み立て塗装を施して飾りたい、というお客さんです。

しかし…そうではないお客さんが、姿を現し始めたのです。
ガレージキットを組み立てて塗装して飾りたいのではなくて『キャラクタフィギュアが欲しい』というお客さんです。
組み立て塗装などしたくないお客さんもいれば、模型経験が無いのでしたくてもできないお客さんもいました。
なのに、ガレージキットが『組み立てキット』であることを承知の上で、買っていくのです。
『キャラクタフィギュアが欲しい』という欲求が、そうさせるのでしょう。
多分にガレージキットを模型ではなく『キャラクタグッズ』として捉えていたのではないでしょうか。
それはまだ、お客さんの全数からすれば、少数だったかもしれませんが。
客層の変化を象徴する存在でした。

変化は造り手にも表れていました。
メーカー製ガレージキットの流通拡大や、原型製作のHowTo本/インターネットの普及によって、原型製作を始めた新たな造り手が増えました。
彼らの中には際立った個性や技量を示し、ガレージキットに新たな風を吹き込む者もいましたが。
市販のガレージキットに倣った作品を造る者も多くいました。
同じ素体を使いまわしているのか、どのキャラクタを造っても顔や体の特徴が同じ、という者もいました。

技法を学び、誰かの作品に倣うという感覚は、ガレージキットの『深化』を模索していた私達ちょっと古い造り手にとって新鮮でした。
ガレージキットに関する情報が、それだけ増えてきたのだなと。
造り方は学ぶものだったのか、表現手法は倣うものだったのか、と。
しかし、倣った作品が増えると、どこかで見たような作品も増えていきます。
希少性/個人パワーが売りのガレージキットなのに、どこかで見たような、量産型とすら揶揄される作品に、お客さんは魅力を感じるのだろうか…疑問を覚えました。

ところが、お客さんの反応は違っていました。
キャラクタを解りやすく捉えているけど、どこかで見たような気もする作品は、人気を博したのです。
考えてみれば当然の事です。
お客さんは、キャラクタフィギュアが欲しいのです。
より解りやすく、云わば『標準化』された作品が、多くの人に支持されるのは道理です。

お客さんが増え、標準化されたガレージキットが台頭し始めると、時を同じくして、ガレージキットイベントはより賑やかなものへと変化しました。
この種のイベントに出展していたメーカーといえば、もっぱら造形/玩具/模型メーカーのみで、決して多くの業者が出展しているとはいえませんでしたが。
90年代半ばあたりからだったでしょうか、ゲーム製作関連業者がブースを構えるようになり。
人気アニメ/ゲームとの連動企画や、声優さんらを招いたステージイベント
主催者/各メーカーによる会場限定商品の販売などが行われ『商業色』を濃くしていきました。
模型愛好家の小さな集いとしてスタートしたガレージキットイベントは、より幅広い客層に訴えるホビーイベントへと、華やかに変貌していきました。

お客さんが増えて、イベントの規模が大きくなると、そこに『動く金』も大きなものとなります。
集客力のある、多額の金が動くイベントには、さらに多くの業者が商売の可能性見出して参加します。
そしていつの間にやら、メーカーブースが集まる区画が設けられ、巨大化していきました。
標準化された『売りやすい』ガレージキットが増えたことと併せて『ガレージキットイベントは商業化してしまった』そのように云われる所以です。

イベントが商業化し、出品されるガレージキットは標準化。
されど世紀末は幸いにも『恐怖の大王って何だったのよ?』で無事過ぎ去りました。
いよいよ2000年代へと突入し、美少女フィギュアをめぐる環境は、より一層の商業化を遂げていくのです。

そんなわけで…もちろん、まだまだ続きますよ。


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コメント 2

ブリッジ

なるほどガレージキット世界でも大きな変化が訪れたのですね。買い手と作り手のバランスが取れていた処へ産業革命の如く大量生産、価格破壊、完成品と言う波と同時に作り手も買い手も見えない基準に悩まされたのですね。私は昔のイベントには参加した事が無いので詳しく無いのですが最近のイベント参加で嬉しくてたまりませんね(笑)毎回そこには作り手も買い手もドキドキ感を漂わせていて早くから並んでいる青年達の狙いのキットについての盛り上がりの話を聞いていると今も昔もファン活動・模型への楽しみが今も続いている事が嬉しいですね。これからも変化があっても持続して欲しいイベントですね。そもそもGOTAKさんのキットはメーカーを超える様な愛情こもった内容なのでモデラーとしては手に入れたいキットですよ。あ?何の話かグダグダになっちゃいました(笑)ではでは
by ブリッジ (2009-12-27 20:11) 

GOTAK

コメントありがとうございます。


<ブリッジさん>
90年代末は既に、女性キャラクタを中心としたフィギュア模型が、ガレージキットとして産声をあげて十数年経っていましたから。
標準化=洗練された、ともいえます。
『売れる形、売りやすい形』が、自ずと定まってきたという事なんでしょう。

WFにおいては、2000年代に入ってすぐ『リセット宣言』なるものが発せられ、開催休止となったこともありましたが。
主催者が何を言いたかったのか、多くの参加者には伝わりませんでした。
後付のように理由が洩れ聴こえてきましたが、此度の『版権モノ5件制限』と同じく、説明不足は伝統的です。
版権問題云々や、ガレージキットのあり方云々など、理由は様々あったんでしょうけど。
参加者の姿勢を問う以前にリセットが必要なのは『商業化を推し進めている主催姿勢ではないのか』といった声もありました。

私の作品も、ラムちゃん造ってた頃と比べると、良くも悪くも標準化されちまいました。
キットとしての『造り易さ』について、買い手を意識するのは商品である以上、重要な事ですが。
加えて近頃は…
『こうしたほうが万人受けするだろう』
…といった買い手目線での造りも、ちょいとばかし意識するようになりました。
これが度を越すと『よくできてるけど、面白くない作品』を造ることになるんでしょうね。

by GOTAK (2009-12-28 10:51) 

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